アマゾンから佐川急便が降りてからというもの、運送の世界は慌ただしくなる。ここぞとばかりにヤマト運輸がアマゾンに食い付いた辺りからヤマト運輸の社内がおかしくなる。あのヤマト運輸をもってしてもアマゾンの荷量を捌くことがままならず、運賃の値上げ交渉と当日便からの撤退を余儀なくされる。そこへデリバリープロバイダーと呼ばれるアマゾンの配送に特化したような地場業者が参入するも、会社の能力・キャパが完全に期待外れであり無理やりかき集めたような素人ドライバーの教育不足もあってか配送トラブルが多発する。キャパを超える受注をしようとするのは運送会社に共通する問題点と思われる。だから労働時間超過・積載超過・速度超過といった法に触れる行為が後を絶たない。
この頃からか鳴り物入りで上陸してきた「ウーバーイーツ」というサービスが話題を呼ぶ。フード配送版白タクとも言われ、主に自転車を使ったにわかドライバーがアプリを駆使して収入を得るという新しい働き方が若者中心にウケ、あっと言う間に世間に定着した。
一方でデリバリープロバイダーの出来の悪さに業を煮やしたアマゾンは、報酬も含め一般的な軽運送仕事より魅力的に見える求人で末端の軽ドライバーと直に取引を開始した。アマゾンフレックスと呼ばれるこのシステムはウーバーイーツ同様にアプリを使って仕事の申し込みから配送ルートの提示まで行う。これまでの軽ドライバーの働き方とは一線を画す内容で、仕事は2時間単位で申し込め、「残業無し」「不在再配達無し」「未配やむなし」とこれまで運送仕事・ドライバー職が敬遠されてきた理由をことごとく改善したような募集を開始したところ、口コミで登録者が殺到し毎月のように拠点が増えていくという、日本の物流を変えてしまうような勢いでドライバーを囲い始めたアマゾン。自社で流通を完結しようと本気になったのでしょうか。
面接無しで登録しておくだけ。スマホアプリを使って好きな時に好きなだけやればよいという働き方が一気に注目を集めた感がある。アマゾンだけではなくPickGoやハコベル等、続々とこれまでの運送業の常識を覆すような働き方を可能にする新勢力がドライバーを集め出している。
これらの事象から考えると、運送仕事・ドライバーの人手不足というのは、長時間労働・低賃金という昔からのイメージを無くす待遇を作り出せれば解決できそうな感じもしてきます。
旧態依然の会社では難しいのかも知れません。会社が適正な運賃で仕事を請け末端の労働者であるドライバーにきちんとした労働対価と労働時間で仕事をさせる仕組みを見直して欲しいものです。
これが出来ない会社は新興勢力に人も仕事も皆持っていかれて淘汰されるだけです。
これから軽運送業を始める人達は、勝ち組・生き残る会社をきちんと見極めて参入してきて欲しい。決して目先の待遇に惑わされず、長く働ける環境を重視しないと一寸先は闇という会社は、この業界にはいっぱいありますから。
ドライバーを大事にしない会社には人手不足倒産というキツイお仕置きが待ち構えている。